猫の投薬を成功させる7つの秘訣:嫌がらずに薬を与えるコツと裏技
愛する猫が病気になったとき、私たち飼い主が直面する大きな壁の一つが「投薬」ではないでしょうか。薬を飲ませようとすると逃げ回り、爪を立て、時には怒りの声をあげる猫たち。猫にとっても、飼い主にとっても、薬の時間は大きなストレスになりがちです。
しかし、ご安心ください。猫に薬を飲ませることは、決して不可能ではありません。いくつかのコツや裏技を知ることで、猫も飼い主もストレスなく、スムーズに投薬できるようになります。このブログ記事では、獣医さんの助けを借りずに、ご家庭で実践できる猫の投薬の秘訣を詳しくご紹介します。今日からあなたも「投薬マスター」を目指しましょう!
なぜ猫は薬を嫌がるの?猫の習性を理解する
猫が薬を嫌がるのには、いくつかの理由があります。これらの理由を理解することで、より効果的な投薬方法を見つけるヒントになります。

五感が非常に優れている
- 嗅覚:猫の嗅覚は人間の数万倍とも言われています。薬のわずかな匂いでも敏感に察知し、警戒します。
- 味覚:猫の味覚は人間ほど複雑ではありませんが、苦味には非常に敏感です。多くの薬には苦味があり、これが猫が薬を嫌がる大きな理由の一つです。
- 触覚:口に異物を入れられること自体が、猫にとって不快な刺激となることがあります。
本能的な警戒心
猫は捕食者であると同時に、小動物であるため、身の危険を感じやすい動物です。口に何かを入れられるという行為は、本能的に「毒」や「異物」と認識し、強く拒否反応を示すことがあります。
過去の嫌な経験
一度でも薬を飲ませる際に嫌な経験をしてしまうと、猫はその記憶を強く持ち続けます。それが「薬=嫌なもの」という学習につながり、ますます投薬が難しくなることがあります。
【準備編】成功率を上げるための環境づくりと心構え
投薬を始める前に、いくつかの準備をすることで、猫の警戒心を和らげ、成功率を格段に上げることができます。
1. 落ち着いた環境を選ぶ
静かで、猫がリラックスできる場所を選びましょう。他のペットや家族がいない、狭めの部屋などが適しています。猫が逃げ場のない場所(洗濯機と壁の間など)に追い詰めるのは、かえって猫の抵抗を強めるだけなので避けましょう。
2. 投薬のタイミングを見計らう
- 空腹時:食事に混ぜる場合、空腹時の方が食いつきが良い傾向があります。
- リラックスしている時:猫が眠そうにしている時や、撫でられている最中など、機嫌が良い時を狙いましょう。
- 慌てない:飼い主が焦っていると、その感情が猫にも伝わり、猫も緊張してしまいます。深呼吸をして、落ち着いて臨むことが大切です。
3. 必要な道具を揃える
薬の形状によって必要な道具が変わります。事前に全て手元に準備しておきましょう。

- 錠剤用:
- ピルクラッシャー(錠剤粉砕器)
- 投薬器(ピルガン、ピルシューター)
- おやつ(チュール、ウェットフードなど)
- 少量の水(シリンジに入れる)
- シロップ・液剤用:
- シリンジ
- おやつ(チュール、ウェットフードなど)
【実践編】タイプ別・猫に薬を飲ませる具体的な方法
ここからは、錠剤とシロップ・液剤、それぞれの薬のタイプに応じた具体的な投薬方法をご紹介します。
錠剤・カプセルを飲ませる方法
錠剤やカプセルは、猫が最も嫌がることが多い薬の形状です。しかし、いくつかの工夫で飲ませることができます。
方法1:おやつに混ぜる(最終手段はコレ!)
これが最も猫へのストレスが少ない方法です。まずはこの方法を試しましょう。
- 準備:
- 猫が大好きなおやつを用意します。(チュール、ウェットフード、チーズ、ささみなど、匂いが強く、嗜好性の高いものがおすすめです。)
- 錠剤をそのまま入れるか、ピルクラッシャーで細かく砕きます。カプセルの場合は、中身を取り出して使用します。
- 砕いた薬は、少量の水やウェットフードでペースト状にすると、より混ぜやすくなります。
- 混ぜ方:
- おやつのごく少量に薬を混ぜ、猫に与えてみます。最初は薬の匂いを気づかれないよう、ごく少量から始めましょう。
- もし食べたら、残りのおやつには薬を入れずに与え、成功体験で終わらせます。
- 少量ずつ与えてみて、薬が入っていると気づかれてしまったら、潔く諦めて別の方法を試しましょう。無理強いは逆効果です。
ポイント:
- 薬を混ぜるおやつは、普段与え慣れていない、特別なものを用意すると効果的です。
- 薬の量が少ない場合は、複数回に分けて与えるのも良いでしょう。
- 薬の苦味を消すために、嗜好性の高いペースト状のおやつ(チュールなど)は非常に有効です。

方法2:投薬器(ピルガン)を使う
薬をおやつに混ぜるのが難しい場合や、猫が錠剤の味に敏感な場合に有効です。

- 準備:
- 投薬器の先端に錠剤をセットします。
- 少量の水(5ml程度)をシリンジに入れて用意しておくと、薬を飲み込みやすくする助けになります。
- 猫の保定:
- バスタオルで猫をくるむと、暴れるのを防ぎ、安全に保定できます。この時、顔だけを出すようにし、体をしっかりと固定します。
- 猫の頭を優しく持ち、上を向かせます。
- 投薬:
- 投薬器を猫の口の奥(舌の付け根あたり)に差し込み、素早くレバーを押して薬を放出します。
- 薬を放出したら、すぐに口を閉じ、鼻を軽くフーフーと吹いたり、喉を優しく撫でたりして、嚥下を促します。
- 薬を飲んだことを確認したら、ご褒美をあげて良い経験で終わらせましょう。
ポイント:
- 投薬器を使う際は、喉の奥を傷つけないよう、慎重に行いましょう。
- 素早く行うことが重要ですが、無理やり押し込むと、猫がパニックになる可能性があります。
- 薬の後に少量の水を飲ませることで、薬が食道に張り付くのを防ぎ、食道炎のリスクを減らすことができます。
方法3:手で直接飲ませる
経験と慣れが必要な方法ですが、投薬器が苦手な猫には有効な場合もあります。

- 準備:
- 錠剤を片手に持ちます。
- 少量の水(シリンジに入れて)も用意しておくと良いでしょう。
- 猫の保定:
- バスタオルでしっかりと猫をくるみます。
- 猫の頭を優しく持ち、人差し指と親指で上顎の犬歯の後ろあたりを押すと、口が開きやすくなります。
- もう片方の手の親指で下顎を軽く押し下げ、口を完全に開かせます。
- 投薬:
- 開いた口の奥、舌の付け根に薬を素早く置きます。
- すぐに口を閉じ、上を向かせ、鼻をフーフーと吹いたり、喉を優しく撫でたりして嚥下を促します。
- 薬を飲んだことを確認したら、ご褒美をあげてポジティブな経験で締めくくりましょう。
ポイント:
- 猫の牙は非常に鋭いので、噛まれないように注意が必要です。
- 手早く、しかし猫を傷つけないように優しく行うことが大切です。
- 薬を置く位置が手前すぎると、猫が吐き出してしまいます。できるだけ舌の奥に置くようにしましょう。
シロップ・液剤を飲ませる方法
シロップや液剤は、錠剤に比べて飲ませやすいことが多いですが、それでも嫌がる猫もいます。
方法1:食事に混ぜる
錠剤と同様に、猫が抵抗なく飲んでくれる可能性が一番高い方法です。
- 準備:
- 猫が大好きなおやつ(ウェットフード、チュールなど)を用意します。
- シリンジで正確な量の薬を測り取ります。
- 混ぜ方:
- 少量のウェットフードやチュールに薬を混ぜ、よく混ぜ合わせます。
- 最初は薬が入っていることに気づかれないよう、少量の餌から与えてみましょう。
- もし食べたら、残りのおやつには薬を入れずに与え、成功体験で終わらせます。
ポイント:
- 薬を混ぜる量は、猫が一度で食べきれる少量にすることがポイントです。
- 薬の匂いや味が強すぎる場合は、混ぜるおやつの量を増やしてみるか、別の嗜好性の高いおやつを試しましょう。
方法2:シリンジで直接飲ませる
食事に混ぜるのが難しい場合や、薬の量が少ない場合に有効です。

- 準備:
- シリンジで正確な量の薬を測り取ります。
- 猫の保定:
- バスタオルでしっかりと猫をくるみます。
- 猫の頭を優しく持ち、片手で顔を固定します。
- 投薬:
- シリンジの先端を、猫の口の横(犬歯の後ろ、歯茎と頬の間)からそっと差し込みます。
- 少量ずつ、ゆっくりと薬を注入します。一度にたくさん注入すると、むせたり、誤嚥したりする可能性があります。
- 猫が薬を飲み込んだことを確認しながら、少しずつ進めます。口を閉じ、鼻をフーフーと吹いたり、喉を優しく撫でたりして嚥下を促しましょう。
- 全て飲み込ませたら、ご褒美をあげて良い経験で締めくくりましょう。
ポイント:
- 猫が暴れても、無理に押さえつけず、一度中断して落ち着いてから再開しましょう。
- シリンジを深く差し込みすぎると、喉を傷つける可能性があるので注意が必要です。
- ゆっくりと少量ずつ注入することで、猫の抵抗を和らげることができます。
【応用編】投薬をスムーズにするための便利グッズと裏技
ここからは、投薬をさらにスムーズにするための便利グッズや、ちょっとした裏技をご紹介します。

1. ピルクラッシャー(錠剤粉砕器)
錠剤を細かく砕くための道具です。指で砕くよりも均一に細かくなり、おやつに混ぜやすくなります。薬の苦味を消すために、粉末状にするのは非常に有効です。
2. 投薬器(ピルガン、ピルシューター)
錠剤を猫の口の奥まで素早く届けるための道具です。薬を直接手で触らずに済むため、飼い主さんのストレスも軽減されます。
3. シリンジ
液剤や水を与える際に使用します。針のないタイプを選びましょう。薬局やインターネットで購入できます。
4. 猫用投薬補助ジェル・おやつ
薬を包み込んだり、混ぜたりすることで、薬の苦味や匂いをマスキングし、嗜好性を高めるための専用ジェルやペースト状のおやつがあります。特に投薬が難しい猫におすすめです。
5. バスタオルを活用した「猫くるみ(ねこまき)」
猫が暴れてしまう場合、バスタオルで体をしっかりとくるむことで、安全に保定できます。通称「猫くるみ」や「ねこまき」と呼ばれ、猫の体を安定させ、爪で引っ掻かれるのを防ぐことができます。

- バスタオルを広げ、その上に猫を置きます。
- まず片方のタオルを猫の体にしっかりと巻き付け、もう片方のタオルをその上から巻き付けます。
- 首元が緩まないようにしっかりと固定し、顔だけが出るように調整します。
- きつく巻きすぎず、猫が呼吸できる程度に注意しましょう。
6. 「薬の時間」をポジティブな経験に
薬を飲ませた後は、必ず猫が大好きなおやつを与えたり、優しく撫でてあげたりしましょう。薬の時間が終わると良いことがある、というポジティブな経験を積み重ねることで、猫の薬に対する警戒心を和らげることができます。
7. 薬を与える人が一人に絞る
家族の中で薬を与える人を一人に絞ると、猫も「この人が来たら薬の時間」と認識し、投薬がスムーズになることがあります。複数の人が日替わりで薬を与えると、猫は誰に対しても警戒心を抱いてしまう可能性があります。
やってはいけないこと:猫をさらに薬嫌いにする行動
薬を飲ませる際に、猫をさらに薬嫌いにしてしまう可能性のある行動は避けましょう。
- 無理やり口を開ける:猫が嫌がっているのに無理やり口を開けようとすると、猫は痛みや恐怖を感じ、ますます抵抗するようになります。
- 薬を飲まないからと怒る:猫は薬を飲まない理由を理解できません。怒鳴ったり、罰を与えたりすると、飼い主への信頼関係が損なわれ、投薬がさらに困難になります。
- 食事に薬を混ぜて食べ残させる:薬を混ぜた食事を残してしまうと、猫は薬の匂いや味を覚えてしまい、その後の投薬が非常に難しくなります。少量ずつ与え、確実に食べさせるようにしましょう。
- 薬を混ぜたことがバレる:猫の嗅覚と味覚は非常に優れています。薬の存在がバレないように、慎重に混ぜる工夫が必要です。
まとめ:猫との信頼関係を大切に、根気強く

猫に薬を飲ませることは、決して簡単なことではありません。しかし、愛する猫の健康を守るためには、避けて通れない道です。
大切なのは、猫との信頼関係を壊さないことです。無理強いせず、猫の気持ちに寄り添いながら、根気強く、そして優しく接することで、きっと猫も薬を受け入れてくれるようになります。
今回ご紹介した様々な方法を試してみて、あなたの猫に合った最適な投薬方法を見つけてください。焦らず、諦めずに、猫と飼い主さん双方にとってストレスの少ない投薬を目指しましょう。もし、どうしても投薬がうまくいかない場合は、かかりつけの動物病院に相談し、別の投薬方法(注射薬、貼る薬など)がないか尋ねてみるのも一つの手です。
あなたの愛猫が一日も早く元気になりますように。

