愛猫がなかなかうんちをしない、苦しそうにしている、いつもより便が硬い…そんな時、飼い主さんは「便秘かな?」と心配になることでしょう。猫の便秘は、放置すると重篤な病気に発展する可能性もあるため、早期に気づき、適切に対処することが大切です。
特に室内飼いの猫や、高齢の猫では便秘になりやすい傾向があります。しかし、「どうしたらいいのかわからない」「自宅でできるケアはあるの?」と悩む方もいるかもしれません。
この記事では、猫の便秘の主な原因から、便の状態で見分ける緊急度、家庭でできる効果的な便秘解消法(食事、水分摂取、運動、マッサージなど)、そして動物病院を受診すべき目安までを詳しく解説します。愛猫が快適に排便できるよう、ぜひこの記事を参考に、日々のケアに取り入れてみてください。
猫の便秘:こんなサインに注意!
猫の便秘は、うんちが出ていないことだけでなく、様々なサインとして現れることがあります。日頃から愛猫の様子をよく観察しましょう。
便秘の主なサイン
- 排便の回数が減る、間隔が空く: 通常、猫は1日に1~2回排便します。2日以上排便がない場合は便秘の可能性が高いです。
- 便が硬い、コロコロしている: 健康な猫の便は、適度な硬さで形がはっきりしています。硬い、乾燥した便、ウサギのフンのようにコロコロした便は便秘の兆候です。
- 排便時に苦しそうにする: トイレで長い時間いきむ、排便時に鳴く、苦しそうに震えるなどの様子が見られます。
- トイレ以外の場所で排便しようとする: 便秘の不快感から、トイレを嫌がって別の場所で排泄しようとすることがあります。
- 食欲不振、元気がない: 便秘がひどくなると、お腹の不快感から食欲が落ちたり、元気がなくなったりすることがあります。
- 嘔吐: 便が詰まることで、嘔吐を引き起こすことがあります。
- お腹を触ると嫌がる、硬い: お腹が張っているように見える、触ると痛みを感じる、しこりのように硬いものが触れる。
便の状態と緊急度
便秘の兆候が見られたら、同時に以下の点も確認し、緊急度を判断しましょう。
- 排便が何日出ていないか: 3日以上出ていない場合は注意が必要です。
- 下痢との区別: 消化不良による下痢の後の便秘や、液状の便が硬い便の周りをすり抜けて出てくる「漏出性下痢」という状態もあります。
- その他の症状: 元気や食欲の有無、嘔吐、腹痛など、便秘以外の症状があるかどうかも重要です。
特に、元気がない、食欲がない、嘔吐を繰り返す、お腹を触ると激しく痛がるなどの症状がある場合は、すぐに動物病院を受診してください。
猫が便秘になる主な原因
猫が便秘になる原因は一つではなく、様々な要因が絡み合っていることが多いです。
1. 水分不足
猫は元々、あまり水を飲まない動物です。また、ドライフード中心の食事の場合、水分摂取量が不足しがちになります。体内の水分が不足すると、便が硬くなり、スムーズに排泄されにくくなります。
2. 食物繊維不足または過多
- 食物繊維不足: 便のかさが増えず、腸の動きが鈍くなることで便秘になります。
- 食物繊維過多: 逆に過剰な食物繊維は、水分を吸収しすぎて便を硬くしたり、消化不良を起こしたりして便秘の原因になることもあります。適切なバランスが重要です。
3. 運動不足
運動量が少ないと、腸の動きも鈍くなりがちです。特に室内飼いの猫は、運動不足になりやすい傾向があります。
4. 毛玉の蓄積
猫は毛づくろいをする際に、抜け毛を飲み込んでしまいます。飲み込んだ毛は通常、便と一緒に排出されますが、量が多いと消化管の中で毛玉となり、便の通過を妨げて便秘を引き起こすことがあります。特に長毛種や換毛期に多いです。
5. ストレス
環境の変化(引越し、来客、新しい家族など)、トイレの汚れ、トイレの場所や数の不満、生活リズムの変化などがストレスとなり、排便を我慢したり、腸の動きが悪くなったりすることがあります。
6. 加齢
高齢の猫は、腸の動きが全体的に鈍くなったり、運動量が減ったり、飲水量が減ったりすることで、便秘になりやすくなります。また、関節炎などで排便姿勢をとるのがつらくなることもあります。
7. 病気や薬の影響
- 巨大結腸症: 結腸が慢性的に拡張し、正常な収縮ができなくなり、便が停滞してしまう病気です。頑固な便秘の原因となります。
- 消化器系の疾患: 腸の炎症、腫瘍、ヘルニアなど。
- 神経疾患: 脊髄損傷などで排便機能に影響が出る場合。
- 甲状腺機能低下症、腎臓病など: 他の全身性疾患が便秘を引き起こすこともあります。
- 鎮痛剤や抗ヒスタミン剤などの薬: 副作用で便秘になることがあります。
8. トイレ環境の問題
- トイレの清潔さ: 汚れたトイレを嫌がり、排便を我慢することがあります。
- トイレの数: 多頭飼育の場合、猫の頭数+1個が理想とされています。
- トイレの場所: 人通りの多い場所や、猫が安心して排便できない場所にあると、排便をためらうことがあります。
- トイレのタイプ、砂の種類: 猫によっては、特定のタイプのトイレや砂を嫌がることがあります。
自宅でできる猫の便秘解消法
軽度の便秘であれば、自宅でのケアで改善する可能性があります。ただし、症状が改善しない場合や悪化する場合は、すぐに動物病院を受診してください。
1. 水分摂取量を増やす
水分不足は便秘の大きな原因です。以下の方法で、愛猫の飲水量を増やしましょう。
- 新鮮な水を常に用意: 複数箇所に水飲み場を設置し、毎日水を交換しましょう。
- 水飲み器の種類を見直す: 流れる水を好む猫もいるので、循環式の給水器(ファウンテン)を試してみるのも良いでしょう。
- ウェットフードを活用: ドライフードからウェットフードに切り替えたり、ウェットフードを混ぜて与えたりすることで、食事から水分を摂取させることができます。
- フードをふやかす: ドライフードにお湯や猫用ミルクを少量加えてふやかすのも有効です。
- 水に風味をつける: 茹でた鶏肉の茹で汁(塩分なし)や、猫用カツオ出汁などを少量加えて、水に風味をつけると飲水量が増えることがあります。
2. 食物繊維の適切な摂取
食物繊維は便のかさを増やし、腸の動きを活発にする効果があります。
- 食物繊維が豊富な療法食: 獣医師に相談して、食物繊維を適切に配合した療法食を検討するのも良いでしょう。
- サプリメントの活用:
- サイリウム(オオバコ): 水分を吸収して膨らみ、便のかさを増やします。少量ずつフードに混ぜて与えます。
- プロバイオティクス: 腸内環境を整え、腸の働きをサポートします。
- 注意点: 食物繊維を急に増やすと、逆にお腹の調子を崩すことがあるため、少量から始めて様子を見ながら与えましょう。また、与えすぎはかえって便を硬くすることもあるので注意が必要です。
3. 適度な運動を促す
運動は腸の動きを刺激し、便秘解消に役立ちます。
- 遊びの時間の確保: 猫じゃらしやレーザーポインターなどを使って、毎日遊びの時間を設けましょう。
- キャットタワーの設置: 上下運動ができるキャットタワーは、運動不足解消に役立ちます。
- おもちゃの工夫: 一人で遊べるおもちゃを用意したり、おやつを隠して探させるような知育玩具も良いでしょう。
4. お腹のマッサージ
優しくお腹をマッサージしてあげることで、腸の動きを促す効果が期待できます。
- やり方: 猫がリラックスしている時に、お腹全体を手のひらで優しく円を描くようにマッサージします。特に、お腹の左側を下から上に、右側を上から下になぞるようにマッサージすると、腸の動きに沿って刺激を与えられます。
- 注意点: 猫が嫌がる場合はすぐに中止しましょう。力を入れすぎないように注意してください。お腹を触ると痛がる場合は、病気の可能性もあるのでマッサージは控えて動物病院を受診しましょう。
5. トイレ環境の改善
猫が安心して排便できる環境を整えることは非常に重要です。
- トイレの清潔維持: 排便ごとに汚れた部分を取り除き、週に1回は全ての砂を交換してトイレを洗浄しましょう。
- トイレの数と場所: 多頭飼育の場合は、猫の頭数+1個のトイレを用意しましょう。静かで落ち着ける場所に設置し、必要であれば複数のタイプのトイレや砂を試してみましょう。
- トイレのサイズ: 猫がゆったりと体を収められる十分な大きさのトイレを選びましょう。
6. ブラッシングで毛玉対策
定期的なブラッシングで抜け毛を取り除くことで、猫が飲み込む毛の量を減らし、毛玉による便秘を予防できます。特に長毛種や換毛期には念入りに行いましょう。
動物病院を受診すべき目安
自宅でのケアで改善が見られない場合や、症状が悪化している場合は、迷わず動物病院を受診しましょう。
すぐに動物病院を受診すべきケース
- 3日以上排便がない場合: 腸閉塞や巨大結腸症などの可能性も考慮し、早急な診察が必要です。
- 元気がない、食欲不振、嘔吐を伴う場合: 重篤な病気が隠れている可能性が高いです。
- お腹を触ると激しく痛がる場合: 腹痛が強い場合は緊急性が高いです。
- 何度もトイレに行くが排便できない(しぶり): 便秘だけでなく、尿路系のトラブルの可能性もあります。
- 子猫や老猫の場合: 体力がなく、症状が急速に悪化するリスクが高いです。
動物病院での治療法
獣医師は、レントゲン検査や触診、血液検査などを行い、便秘の原因を特定します。原因に応じた治療が行われます。
- 下剤の処方: 緩下剤や便を柔らかくする薬が処方されます。
- 点滴: 脱水症状がある場合は、点滴で水分補給を行います。
- 浣腸: 固まった便が詰まっている場合は、病院で浣腸を行い、便を排出させます。
- 手術: 巨大結腸症などで重度の便秘が繰り返される場合は、外科手術が検討されることもあります。
- 基礎疾患の治療: 便秘の原因となっている病気(腎臓病、甲状腺機能低下症など)があれば、その治療を行います。
まとめ:愛猫の快適な排便のために
猫の便秘は、飼い主さんにとって心配な症状の一つですが、日頃の観察と適切なケアで予防・解消できることが多いです。特に「水分摂取」と「食物繊維のバランス」が便秘解消の大きなカギとなります。
- 愛猫の排便状況を毎日チェックし、異常があれば早めに気づく。
- 常に新鮮な水を複数箇所に用意し、ウェットフードも活用して水分摂取を促す。
- バランスの取れた食事を心がけ、必要に応じて食物繊維を調整する。
- 遊びを通して適度な運動をさせ、腸の動きを活発にする。
- 清潔で安心できるトイレ環境を整える。
これらの対策を行っても改善が見られない場合や、愛猫の様子がおかしいと感じた場合は、迷わず動物病院を受診してください。早期発見・早期治療が、愛猫の健康を守る上で何よりも重要です。私たち飼い主が愛猫の快適な毎日をサポートしてあげましょう。

