猫が下痢をしたら:原因と自宅ケア、動物病院受診の目安まで

猫が下痢 猫の健康・病気

愛猫が突然下痢をしてしまったら、飼い主としてはとても心配になることでしょう。猫の下痢は、一時的なものから、病気のサインである場合まで、様々な原因が考えられます。便の状態によっては、早急な対応が必要なケースもあります。

「このくらいの下痢なら大丈夫かな?」「病院に連れて行くべきか迷う…」と悩む飼い主さんも少なくありません。しかし、猫は体調不良を隠すのが得意な動物です。下痢が続くと脱水症状に陥ったり、重篤な病気が隠れていたりする可能性もあるため、適切な判断と対処が非常に重要です。

この記事では、猫の下痢の様々な原因から、便の状態で見分ける緊急度、家庭でできる応急処置やケア、そして動物病院を受診すべき目安までを詳しく解説します。大切な愛猫の健康を守るために、ぜひこの記事を参考に、下痢のサインを見逃さず、落ち着いて対応できるように準備しておきましょう。

猫の下痢:便の状態で見分ける緊急度

猫の下痢は、便の状態や色、匂い、そして下痢以外の症状があるかどうかで、緊急度を判断する手がかりになります。まずは愛猫の便の状態をよく観察しましょう。

下痢の便の状態(目安)

  • 軟便(泥状便): 形は残っているものの、柔らかく、水っぽい。
  • 水様便: 完全に液状で、色が薄いこともある。
  • ゼリー状便: 便全体がゼリーのような粘液で覆われている。
  • 血液が混じる便:
    • 鮮血便: 真っ赤な血が混じっている。腸の出口付近からの出血の可能性。
    • タール便(黒色便): 黒っぽくドロドロしている。消化管の上部からの出血が考えられる。
  • 未消化物混じり便: 食べたものがそのまま出てくる。

緊急性の高い下痢のサイン

以下のような状態が見られたら、すぐに動物病院を受診することを強くお勧めします。

  • 激しい水様便が続く: 脱水症状に陥りやすい。
  • 血便(特にタール便): 消化管からの出血は重篤な病気のサインの可能性。
  • 嘔吐を伴う下痢: 脱水が急速に進む危険性がある。
  • 元気がない、食欲不振: 体力が奪われ、重症化しやすい。
  • 発熱: 体を触って熱い、ぐったりしている。
  • 子猫や老猫の場合: 体力や免疫力が低いため、症状が急速に悪化しやすい。
  • 下痢が24時間以上続く場合: 軽度に見えても長引くと体力を消耗する。

上記に当てはまらない場合でも、飼い主さんが「いつもと違う」「何かおかしい」と感じたら、迷わず動物病院に相談することが大切です。

猫が下痢をする様々な原因

猫の下痢の原因は多岐にわたります。主な原因をいくつか見ていきましょう。

1. 食事が原因の下痢

  • フードの切り替え: 急なフードの変更は、消化器に負担をかけ、下痢の原因となることがあります。新しいフードに切り替える際は、既存のフードに少しずつ混ぜて、1週間~10日ほどかけて徐々に移行させましょう。
  • 食べすぎ、急激な食事量: 一度に大量の食事を与えると、消化不良を起こしやすくなります。
  • 食事内容の不適合: 特定の食材に対するアレルギーや不耐性、脂肪分の多い食事などが原因となることがあります。
  • 傷んだ食べ物、異物誤食: 腐敗した食べ物を食べてしまったり、誤って観葉植物や異物を食べてしまったりした場合にも下痢を起こすことがあります。
  • 牛乳(乳糖不耐症): 猫は乳糖を分解する酵素が少ないため、牛乳を与えると下痢を起こしやすいです。

2. 寄生虫が原因の下痢

  • 腸内寄生虫: 回虫、鉤虫、条虫、ジアルジア、トリコモナスなどの寄生虫が腸に感染することで下痢を引き起こします。子猫に多く見られますが、成猫でも感染します。
  • 症状: 下痢の他に、食欲不振、元気消失、体重減少、お腹の膨らみ、吐く、お尻をかゆがるなどの症状が見られることがあります。便に虫体や虫卵が混じることもあります。

3. ストレスが原因の下痢

  • 環境の変化: 引越し、来客、新しい家族(人間やペット)が増える、家具の配置変更など、環境の変化は猫にとって大きなストレスとなります。
  • 生活リズムの変化: 飼い主の留守番時間が長くなる、遊びの時間が減るなど、普段の生活リズムの変化もストレスになることがあります。
  • 症状: 一時的な下痢が多く、ストレスの原因が解消されれば改善することが多いです。他の病気の症状が見られないのが特徴です。

4. 感染症が原因の下痢

  • 細菌感染: サルモネラ菌、大腸菌、カンピロバクターなど。
  • ウイルス感染: 猫汎白血球減少症(猫パルボウイルス)、猫コロナウイルス(猫伝染性腹膜炎(FIP)の前段階)、ロタウイルスなど。特に猫汎白血球減少症は致死率が高く、子猫が感染すると危険です。
  • 症状: 下痢の他に、発熱、嘔吐、食欲不振、元気消失など、全身症状を伴うことが多く、重症化しやすい傾向があります。

5. アレルギーが原因の下痢

  • 食物アレルギー: 特定のタンパク質(鶏肉、牛肉、魚など)に反応して、下痢や嘔吐、皮膚炎などの症状を引き起こすことがあります。
  • 症状: 慢性的な下痢が続く、皮膚のかゆみ、脱毛、嘔吐など。

6. 消化器系の病気が原因の下痢

  • 炎症性腸疾患(IBD): 慢性の下痢や嘔吐を繰り返す原因不明の腸の炎症性疾患です。
  • 腸閉塞: 異物誤食などにより腸が詰まることで、下痢ではなく便秘、嘔吐、腹痛などの症状が出ます。
  • 膵炎: 膵臓の炎症により、消化不良を起こし下痢や嘔吐を引き起こします。
  • その他: 肝臓病、腎臓病、甲状腺機能亢進症など、他の臓器の病気が下痢を引き起こすこともあります。

猫が下痢をした時の自宅ケアと注意点

軽度の下痢の場合、自宅で様子を見ながらケアできることもあります。ただし、異変を感じたらすぐに動物病院を受診する準備もしておきましょう。

1. 食事内容の見直しと絶食(一時的)

  • 絶食(短時間): 下痢が始まったばかりで他に症状がない場合、一時的に12~24時間程度の絶食を検討することがあります。これにより、消化器を休ませることができます。ただし、子猫や老猫、持病のある猫には絶食は危険な場合があるので、獣医師に相談せずに実施しないでください。
  • 消化しやすい食事: 絶食後は、消化に良い食事を与えます。鶏のささみ(茹でて細かくしたもの)や、消化器サポート用の療法食などを少量ずつ与え、徐々に通常の食事に戻していきます。
  • 水の提供: 下痢は脱水症状を招くため、新鮮な水をいつでも飲めるように用意しましょう。水飲み場を増やしたり、ウェットフードで水分補給を促したりすることも有効です。
  • フードの変更は慎重に: 新しいフードに切り替えたばかりであれば、以前のフードに戻すか、獣医師に相談して療法食を検討しましょう。

2. ストレス軽減

ストレスが原因の下痢であれば、ストレスを取り除くことが最も重要です。

  • 安心できる環境: 静かで落ち着ける場所を用意し、ゆっくり休ませてあげましょう。
  • 生活リズムの維持: 食事時間や遊びの時間を一定に保ち、猫に安心感を与えましょう。
  • 過度な干渉は避ける: 猫が一人でいたい時には、そっとしておいてあげましょう。
  • 遊びと運動: ストレス解消のために、適切な遊びや運動を取り入れることも大切です。

3. 清潔な環境の維持

  • トイレの清掃: 下痢をしている時は、トイレをこまめに掃除し、清潔に保ちましょう。お尻周りの汚れも優しく拭き取ってあげてください。
  • 寝床の清潔: 寝床やカーペットなどが汚れてしまったら、すぐに洗濯・清掃しましょう。

4. サプリメントの活用(獣医師に相談の上)

腸内環境を整える「プロバイオティクス」などのサプリメントが市販されています。軽度の下痢の改善や、腸の健康維持に役立つ場合がありますが、使用する際は必ず獣医師に相談してからにしましょう。

動物病院を受診すべき目安

「この症状で病院に行くべきか?」と迷ったら、以下の点を参考にしてください。

すぐに動物病院を受診すべきケース

  • 上記「緊急性の高い下痢のサイン」に当てはまる場合: 激しい水様便、血便、嘔吐を伴う、元気・食欲がない、発熱など。
  • 子猫や老猫の場合: 体力がなく、症状が急速に悪化するリスクが高い。
  • 下痢が24時間以上続く場合: 軽度に見えても、長期間続くと脱水や体力消耗が心配。
  • 持病がある猫の場合: 下痢が持病を悪化させる可能性がある。
  • 異物を誤食した可能性が疑われる場合: 異物が腸に詰まるリスクがある。
  • 便の状態が悪い(異常な色、強い悪臭など):

受診の際に獣医師に伝えるべき情報

診察を受ける際は、以下の情報をできるだけ詳しく伝えられるように準備しておきましょう。

  • 下痢が始まった時期、頻度: いつから、1日に何回下痢をしているか。
  • 便の状態: 硬さ、色、匂い、血液や粘液、虫の有無。写真に撮っておくと伝わりやすいです。
  • 下痢以外の症状: 嘔吐、食欲不振、元気消失、発熱、体重減少など。
  • 食事内容の変化: 最近フードを切り替えたか、いつもと違うものを食べたか。
  • 生活環境の変化、ストレス要因: 引越し、来客、新しいペットなど。
  • 予防接種、寄生虫駆除の履歴:
  • 既往歴、現在の服用薬:

まとめ:早期発見と適切な対応が愛猫を守る

猫の下痢は、多くの飼い主さんが経験するトラブルの一つです。一時的なものから、重篤な病気のサインまで、その原因は様々です。

大切なのは、日頃から愛猫の便の状態を観察する習慣をつけ、異変に早期に気づくことです。そして、「緊急性の高いサイン」を見逃さずに、迷わず動物病院を受診する判断力を持つことです。

軽度の下痢であれば、自宅での食事管理やストレス軽減で回復することもありますが、自己判断が難しい場合は、必ず専門家である獣医師に相談しましょう。愛猫の健康と快適な生活のために、適切な知識と対応で、下痢のトラブルを乗り越えていきましょう。